残業代請求とは
そもそも「残業代請求」とはなにか、「残業代請求」の権利と時効について、そして「残業代請求」の実際と、弁護士に依頼するメリットについてご説明しています。
1「残業代請求」とは
職業を問わず、原則として定時の始業時間の前や終業時間の後に1分でも働いた場合は、勤務先に残業代を請求できます。しかしながら、国内においてはサービス残業が常態化して残業代が未払いのままとなっているケースが数多くみられます。
その未払いとなっている残業代を勤務先や元勤務先に請求して、支払わせるまでの一連の手続きのことを「残業代請求」と言います。特に近年においては、労働者側からの「残業代請求」の申し立てを全面的に認める判決が数多く出されており、事案として増加傾向にあります。
ここがポイント!
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職業を問わず、残業代は請求できる
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近年、残業代請求は増加傾向
2「残業代請求権」とは
1日8時間以上、週40時間以上働いた場合、勤務先には労働者に対して残業代を支払う義務(賃金債務)が発生し、労働者には「残業代請求権」という権利(賃金債権)が発生します。この「残業代請求権」の時効は2年間と定められていて、過去2年以内の残業については、遡って未払いの残業代を請求することが可能です。
勤務先や元勤務先への「残業代請求権」は、あなたが保有している正当な権利であり、その権利を行使することで労働に対する正当な対価を得ることができます。
ここがポイント!
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未払い残業代の時効は3年
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未払い残業代の請求は正当な権利
3「残業代請求」の実際
「残業代請求」に関しては、もちろん労働者本人が会社側と直接交渉することも可能です。しかしながら、労働者本人からの直接の申し立てに対し、会社側は労働問題に精通した担当者を立て、様々な理由を述べて支払いを拒む傾向があります。
また、「残業代請求」を実際に行う際は、残業した労働時間の立証や請求金額の算定処理が必須であり、請求書面の作成や会社側との交渉のための専門的な知識も必要となり、経験のない方においては多大なストレスがかかることが予想されます。
「残業代請求」を弁護士に委任することで、弁護士が請求金額を算定して書面作成を行い、代理人として会社側との交渉等を行うため、依頼者にはストレスがかからず、不要なリスクも避けて最大限の成果を得ることが可能となります。
ここがポイント!
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ご本人直接での残業代請求には様々なハードル
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弁護士に依頼することでストレスやリスクを軽減
よくあるご相談について
みなし残業代・定額残業代などの固定残業代制や、管理職でも残業代が請求できる? 会社が労働時間を管理していない場合は? などの疑問や、残業代を請求して実際に支払ってもらえるのか、などの不安にお答えします。
固定残業代制(みなし残業代・定額残業代)なので残業代が出ない?
昨今の残業代請求の増加を受けて、安易に形式だけの固定残業代制度を導入して残業代の支払いを免れようとする会社が後を絶ちません。
特に、従来までの基本給を減額して固定残業代を設けることにより残業代を支払わないケース、固定残業代以上に残業しても残業代が支払われず固定残業代制度が実質的に機能していないケース、36協定で定めた月の残業時間上限の45時間を上回る固定残業代制度を設けて事実上追加の残業代を支払わないケースなどが見受けられます。
現在、固定残業代制度が有効とされる要件は明確には定められていませんが、「36協定で定める月45時間を超える固定残業代は公序良俗に反するため無効である」と判断された裁判例など、残業代を回収したケースが数多くあります。
ここがポイント!
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機能してない固定残業代制は無効の可能性あり
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一方的な給与体系の変更は無効の可能性あり
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月45時間超の固定残業代制は無効の可能性あり
管理職だから残業代がもらえない?
残業代を支払わなくてよい「管理監督者」とは、会社で定められた役職にかかわらず、「経営者と一体的な立場で仕事をしているか」「出社・退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないか」「その地位にふさわしい待遇がなされているか」という実態で判断されます。
この判断基準は会社の規模・業態により様々ですが、「経営の権限があるか」「会社の一部門を統括しているといえるか」「従業員の採用・解雇の権限があるか」「部下がいるか」「労働時間に自由があるか」「報酬がふさわしいか」などを総合的に考慮した判例が多く出されています。
したがって、タイムカードによって勤怠を管理されているなど「管理監督者ではない」ことが合理的に主張できれば、残業代を請求できます。テオリアで受任した事案で「管理監督者である」と認定された事例はありません。
ここがポイント!
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人事・指揮命令など管理監督権があるか
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出社・退社や勤務時間に制限はないか
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給与などの待遇は優遇されているか
裁量労働制だから残業代が出ない?
残業代を支払わなくてよい裁量労働制は、企画業務型と専門業務型の2種類だけであり、その適用要件は法律で厳格に定められていますが、実際には裁量労働制には該当しないのに不適切な運用を行い、残業代を支払わないケースがあります。
本来であれば裁量労働制の届け出を受け付ける労働基準監督署で厳格な審査を行うべきですが、現実には労働基準監督署は労働者の勤務実態を具体的に審査していないため、不適切な運用が横行しています。
そのため、労働基準監督署では適法と判断されても裁判所では違法な運用であると判断されることがほとんどです。また、裁量労働制の運用手続きは非常に複雑で厳格であるため、手続き違反で裁量労働制は無効と判断されることも多いのです。
テオリアで裁量労働制が争点となった事例で、裁量労働制を理由に残業代を請求できなかったケースはありません。
ここがポイント!
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労働基準監督署では勤務実態を審査していない
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裁量労働制の手続き運用は非常に厳格で複雑
会社が時間管理をしていない場合は?
会社には労働者の労働時間を適切に管理して把握する義務がありますが、これを怠っている会社も存在します。このような会社は、従業員がいざ残業代を請求しようにも労働時間を証明する資料がありません。
残業代を請求するためには、毎日何時から何時まで働いていたのかを明らかにする必要があり、何の証拠もない状態では残業代は認められません。そこで、後で勤務時間がわかるように在職中に自分で社内メールの記録を取っておく、GPSと連動した勤怠アプリなどで記録を残すなどの対策が必要になります。なお、日記に退社時間をメモすることは、何も証拠がないよりは良いのですが、証拠としての価値はやや劣ります。
会社側の典型的な反論として、「会社は残業を指示していない、勝手にやっていた」「会社に残っていたけれども仕事はしていない、遊んでいただけだ」などがありますので、残業の証拠を確保する際は単に時間を記録するだけでなく、毎日誰に頼まれて(会社の指示であること)具体的に何をしていたか(仕事をしていたこと)を記録しておくことが望ましいでしょう。
ここがポイント!
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労働時間の証拠を確保しておく
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時間や誰に頼まれて何をしたかを記録しておく
労働基準監督署や他の法律事務所で請求できないと言われた
会社のやり方に不満をもって労働基準監督署に相談に行ったが、労働基準監督署でも色々と言いくるめられて満足行く結果を得られなかったという方も多いのではないでしょうか。
残念ながら労働基準監督署は明らかな法律違反に対して罰を与えることを目的としているため、労働条件の不合理性や残業代未払いに関して少しでも会社側が反論を行った場合には、会社側の主張する事実を前提に物事を判断して実態を調査しないことがほとんどです。その上、労働者と会社側の主張する事実に食い違いがある場合や、契約内容の会社が問題となる場合には民事不介入を理由にその後の調査を行わないことも多いのです。
また、労働に関する社会情勢や法律は日々変わるものであり、弁護士によって判断内容が大きく異なる場合も多いため、複数の弁護士の意見を聞くのがよいでしょう。
ここがポイント!
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労働基準監督署は民事不介入で実態を審査しない
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弁護士による法的判断は1つではない
実際に支払ってもらえるのか不安
残業代を支払う義務があることを認識しつつもあえて支払わないような悪質な会社も多く存在します。このような会社で、裁判で残業代の支払命令が出ても判決に従わない場合は、会社の財産を差し押さえる手続きを行います。
また、財務状況等から会社の支払い能力が不安な場合には、判決が出る前に会社の財産を仮に差し押さえて財産を保全することも可能です。
ここがポイント!
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裁判前に財産を仮に差押えることも可能
ご相談について
ご相談時の費用
テオリアは、「完全」成功報酬制を採用しており、相談料は一切不要です。
まずは、ご相談フォーム、またはお電話にてご相談内容をお伝え下さい。
ご相談時の流れ
ご予約頂いた日時に事務所に来所頂き、労働問題を専門とする弁護士がご相談内容を伺います。
ご相談者様から伺った内容やお持ち頂いた証拠に基づき、回収の見通しや今後の手続きの流れ、弁護士費用などを詳しくお伝えし、回収を依頼するかどうかご検討頂きます。
なお、来所日は土日祝日も承ります。遠方の方は、電話またはメールによる委任も可能ですのでお問い合わせください。